小菅孝一級建築士事務所
〒357-0205 埼玉県飯能市白子390-7 
(素材に代わって)一言いいたいポイント
自然の素材にはそれぞれに違う性質があるので、サイディングのように気軽にレンガや板張りとと言ったように模様だけで選ぶわけにはいきません。選択し経過を見とどけることが自然を学ぶプロセスなのだと思います。家造りを続けていると、何度も同じ要望や、質問に合うことがあります。また数をやっている中でもう少しこうしておけばと思うことも少なくないので、気になる何点かをアドバイスさせていただきます。


木製デッキ(屋根さえつければ3倍長持ち)
北欧の家などでは見ることの多い屋外の木製デッキですが、日本の気候では雨ざらしの木製デッキでは10年程度、腐りにくい材料を使っても15年〜20年程度しかもちません。伝統的な日本の縁側には昔から深い庇がついています。ヨーロッパ人がアジアの植民地時代に作ったコロニアルスタイルにも家から出たら深い庇があってその下に木製デッキとロッキングチェアーでくつろいでいるようなスタイルだったはずです。せっかく作るデッキなのですから、屋根をつければ3倍くらいは長持ちします。外でくつろぎたい季節には雨が多く、日よけがほしい季節が多いのです。

薪ストーブは覚悟をもって

震災の影響もあってか電気や石油を使わない薪ストーブを望まれるお客様が多くなっています。個人的には炎のある生活空間は魅力があっておすすめなのですが、薪ストーブを使うにはそれなりの覚悟が必要です。もともとヨーロッパでは、暖房や煮炊きだけではなく、開口の少ない家の中を喚起するために暖炉やストーブはなくてはならないものでした。リビングの中心で家族団らんのシンボル的な存在でもあります。住宅設備の元祖のようなものなので相当気合を入れて作られています。単に生活を便利にする道具だと思って使おとしても思うようにはいかないでしょう。冬のライフスタイルを変えるくらいの覚悟は必要です。

@家の中で直接火を使うので煙突やストーブ廻りなどしっかりとした対策が必要です。工事はプロに任せましょう。設置後も煙突掃除などのメンテナンスが必要で相談できる人が必要です。

Aほとんどの場合、経済的な理由ではお勧めできません。薪を買うとなると光熱費は高くなります。ポイントは薪の炎に魅力を感じられるかということと、薪を用意することを楽しんでできるかということだと思います。ストーブを使ってじっくりと料理を作るのも冬の楽しみになります。


外装は適材適所メンテナンスも考えて・呼吸する壁には庇がほしい
サイディングをはじめとする近年の家造りでは坪単価を下げなければならないという命題があり庇の少ない、又はない家が多くなりました。原則、壁の中には防水層と通気層を設けなければならず外壁のサイディングは日よけと化粧の役割程度しかありません。仕上げがペンキなのでレンガ調にも板張りのようにもなるのですが、1mmに満たないペンキの層は10年程度でメンテナンスを必要とします。そこが大丈夫でもサイディングの間を埋めるコーキングの劣化があるので一緒にやってしまおうか・・・・・となります。
 漆喰等の塗り壁材は呼吸をしながらゆっくりと硬化してゆくので静電気による汚れが付きにくく、10〜20年程度では硬化の途中で劣化には至りません。欠点は水分を含みやすく雨の多い季節に湿ったままになっていると雨染みや苔が生える原因にもなります。壁全体で呼吸でき、断熱効果もあるので本来は通気層がなくても大丈夫な素材です。ベランダや庇の取れない壁にはガルバリウム鋼板に通気層を設けて使うようにしています。これは屋根材に近い仕上げ材です。

庇を出さない家のホントの事情
   国内でも庇のない家が多くなりましたが、旅行先やテレビの情報などで国外の影響を受けている人も多いと思います。伝統的に庇のない家にはそれなりの環境的な事情があります。
@米サンタフェでは1年の内300日は快晴で雨や湿気で家が腐ってしまうことはないので庇もなく梁の丸太が飛び出した家でも問題ありません。
A英コッツウオールの外壁は石積みで腐ることがなく寒冷な地域なので家を破壊してしまうような植物も生えません。また、石の隙間を苔で埋めたりしているので雨がかかった方が隙間風が少なくなるのです。
Bスペインや地中海沿いの集落では海風が当たるので雑菌やほこりが少なく、狭い路地を明るくするためには庇は邪魔になります。

自然の個性と変化を楽しみながら
床材には原則杉板の浮造り節有30mmをお勧めしています。
杉は日本の人工林の40%以上を占める日本を代表する素材です。100年後に補修が必要でもほぼ同じものが手に入ります。節や年輪部分は非常に固く、間の材は柔らかいため、触感が柔らかく、傷にはなりやすいのですが、使い込めば年輪が浮き立って傷は目立たなくなります。節は最初に気になる人はいますが、穴の開いた節でなければ節のある方が固くて油分も多いのです。生活してみると節材の方が傷や汚れも目立たないので、細かい傷は気にせずにおおらかに使っていただければと思います。実際20年も使い込めば気を使っていてもそんなに変わりません。細かい傷を気にしすぎるのはプリントの新建材を使ってきた世代の文化なのだと思います。プリント合板は傷つきにくくなっていますが、少しでも傷がつくと全く違った醜い姿になってしまいます。自然素材は懐が広いのです。

広く・明るく・開放的に(外に出るのも自然な欲求である)

広く・明るく・開放的に・・・とはどんな人からも言われてる要望です。要望を変えていただきたいときには逆に「狭い・暗い・閉鎖的になります」と言った言葉は良く使われます。かといって体育館のような空間でどれだけ幸せな気分になれるかと考えれば広く感じるのも限界があることもお分かりではないでしょうか。家の中だけですべての欲求を満たすことは不可能ですし、それは健康的な選択ではないと思います。そうした欲求は何もない自然の空の下で一息つきたいと感じているのかもしれません。