小菅孝一級建築士事務所
〒357-0205 埼玉県飯能市白子390-7 
■家造りの変遷  ■伝統工法の知恵  ■家造りの新しい知恵  ■一言いいたいポイント





戦後日本の住宅は決定的な資材不足の中で合理的に大量の家を供給しなけれ
ばなりませんでした。現在では家のほとんどは建材メーカーが作った新建材
でできており、自然の素材に直接触れることは容易ではありません。もとも
とは資材が高騰していたので安く建てるために新建材を選んでいたはずなの
に、新建材でできた日本の家はいつの間にか世界で一番高価な家になっ
てしまいました。
プリントや造形の技術はおそらく世界一だと思います。
美術品や置物で精巧に作った野菜や動物などが本物よりも高価になってしま
うことはよくあることですが、自分が住むところまで実物大の模造品にして
しまうのは賢い選択とは思えません。

 本物の自然素材が良いという風潮は徐々に浸透してはいますが、新建材の
家に住み慣れ、様々な宣伝文句をたたき込まれた人たちにとって、情報だ
けで自然素材の良さを判断することは不可能です。
色や模様がカタログ
通りにはならず、作る人によって出来栄えが違い、明確な説明書もないのに
使い方によって良くも悪くも変化してゆく自然の素材に対して、めんどくさ
いと思う人もいると思います。良いか悪いかを判断する前に本物に触れてみ
ることは大切なことですが、実際ちょっと触っただけではわからないと思い
ます。しばらく使ってみて何もないじゃないかと思い始めたころ、実はけが
も病気もせずにリラックスして暮らせることが自然素材の本当の良さだった
りするのです。

我が家には10年近く使っている杉のまな板があります。最初に薬品や熱湯
での消毒はしないでくださいと言われたので水洗いだけで済ませています
が、変に色が変わることも、食中毒になることもありません。樹芯に近い赤
身の部分ですが、森の立木の状態でも樹木が活動しているのは樹皮の裏側の
ほんの少しの部分で、あとの部分は腐って倒れないように強度と抗菌性を備
えており、木材になってもその性質は生きています。