小菅孝一級建築士事務所

ル・コルビジェ


巨匠ル・コルビジェは近代建築の始まりの時点で現在展開されているほとんどの可能性を予見していたようにも思う。
近代建築5原則
@ピロティー(地上の解放) A屋上庭園 
B自由な平面 C自由な立面 D水平連続窓
 様々な拘束から開放された建築は自由の賛歌を高らかに歌っているようだ。いかにも重そうに作られた屋根は空中に置き、くさびを打ち込んだような窓は規則を持って並べることを禁止されたようにさえも感じる。内部はいくつかの祭壇に分かれ、シェルの頂点から差し込んだ光は闇に包まれた壁面に陰影をつけながら神秘的な空間を作り出す。構造的に拘束されたものはなく、教会でありながら、様式に縛られることも拒否している。建築を様々な拘束から開放しそれを幾何学的に再構築し工業化でなしえる最善の表現方法を提案したことがコルビジェの後世に残した成果であった。そしてそれを恐るべきエネルギーで自己表現をしてみせたのも彼であった。彼は解放者であると同時にこの建築を支配する征服者でもある。近代建築の方向はその後自己表現を厳しく自粛される方向で展開される。ポストモダンを装飾のない箱型建築への反論と見る見方もあるが、近代建築は出発の時点では自由な表現を手に入れていたはずである。モダンがハード的な意味での自由の追求であり、ポストモダンはソフト的な意味での自由の追求だったのではないかとも思う。バベルの塔の話ではないが、度の過ぎた自由は人々の間に根付いた共通の言語も破壊してしまった。